08. ヤクザの情婦に
8/10
2学期が始まってすぐ、週刊誌に衝撃的な見出しが躍った。
『汚れた新体操界の妖精! インターハイ優勝選手が覚醒剤を使用か?』
翌日には明青学園にマスコミが大挙して押しかけ、警察が出動するなど大変な騒ぎになった。
それから2日後、南ちゃんは学校から姿を消した。
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しばらくして私は知り合いのヤクザにビデオをもらった。
パッケージにはレオタード姿の南ちゃんが映っていた。タイトルは『浅倉南 調教日記』だ。
私は家に帰ってビデオデッキにビデオをセットした。
『はぁ、はぁ……』
『すげえオメコの締まり具合だな。インターハイ優勝選手は中身が違うな』
『ケツ穴もピカイチだぜ。グイグイ食いついてくる』
画面には、全裸で両腕を縛られた南ちゃんが、入れ墨を入れた男2人に前後ろから挟まれるように持ち上げられて同時に挿入されているあられもない姿が映っていた。
文字通りサンドイッチだ。薬を注射された後なのだろう、瑞々しい肌には珠のような汗が浮かび、南ちゃんは両方のまぶたを閉じてされるがままに犯されていた。
2人の男が呼吸を合わせて突き上げると、南ちゃんは「ああっ、はああっーー」と喘ぎ声を上げて、首をがっくりと横に倒す。セミロングの髪がほつれて乱れていた。
「南ちゃん……とうとうヤクザの女にされたか……」
少しやつれた以外は出会った頃と変わらない可憐な色香を放っている。
透きとおるように色白い背中には、ヤクザの情婦の印しである赤い薔薇のタトゥーが彫られていた。
春まではどこにでもいる女子高生だったのに、もはや南ちゃんが新体操選手として復帰する道は完全に断たれてしまったのだと悟った。
「こんなことになるとは……すまない」
私は画面の中の南ちゃんに謝った。
あの日、家を飛び出した南ちゃんは私を頼ってきた。まだ18歳の女の子だ、他に行くあてがあるはずない。
そのことを私は、つい顔見知りの売人に口をすべらせてしまった。
人の弱味につけ込むのと甘い汁をすするのが生きがいのような奴らだ。薬のツケをチャラにしてやるからと、半ば脅されて南ちゃんを貸し出すことになった。
南ちゃんは哀しそうな顔で嫌がっていたが私にはどうすることもできなかった。相手は本物のヤクザなのだ。逆らえば私が東京湾で魚の餌になっていたかもしれない。
『兄貴っ、このスケ、オメコが生きてるみたいにヌメヌメしてら』
『オイ、あんまりムチャするなよ。せっかくの上物がぶっ壊れちまう』
『はあぁ、だめぇ……すごいっ』
『へへっ、真珠入りの特製マラは格別だろ』
『くっ……はああっ、ぁぁ……』
『マジでアイドルみたいな顔をしてるぜ。俺達が下沼に代わってたっぷり調教してやるからな』
『やぁぁ……南っ、体がこわれるぅぅ』
『どうせシャブ漬けでおかしくなるんだ。それまでこの体を使って組のためにたっぷり稼いでもらうからな』
『兄貴っ、こんだけ美人をソープで働かせたらオメコの乾く暇もなくなるな』
『まったくだ。下沼の奴っ、いいスケを捕まえてくれたもんだ』
男達はまるで南ちゃんに群がるハイエナのような声で笑っていた。
キメセクの上に真珠入りのマラを味わったら、南ちゃんは普通のセックスでは満足できない体になるだろう。
みすみすヤクザたちが南ちゃんを手放すはずがない。
これから南ちゃんはヤクザの情婦として囲われた上で、死ぬまで風俗で働かされる運命が待っているのだ。
いまはマスコミが騒いでいるが、2ヶ月もすればみんな南ちゃんのことなど話題にしなくなるだろう。
『オメコとケツ穴を同時にほじくられていつまで耐えれるかな』
『あああー、だめぇぇ、南のお腹の中でゴリゴリしてるぅ』
『オラオラ、どうだズベタ! ヒイヒイヨガっちまえ!!』
『はあ、ああっ、たすけてぇーー、南っ、墜ちるぅぅぅ!!』
南ちゃんの、かすれるような叫び声が私の耳に突き刺さった。
男達に抱え上げられ、天井に顔を向けた南ちゃんが電気ショックを受けたように背中を弓なりにする。すらりとした美脚を大きく左右に開いて、足の指の先をビクビクと痙攣させていた。
(……南ちゃん、ヤクザにサンドイッチされてイッたのか?)
ひとすじの涙が南ちゃんの頬を伝う。
私はビデオのリモコンを握りしめたまま固まっていた。
この後、私は二度と南ちゃんに会う事はなかった。
おわり