Hなお姉さんは、好きですか?2~隣のお姉さんと一週間同棲性活編~
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作者:白雲
02. タイトル未設定
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【日曜日】
――公民館――
 翌朝、浅倉南は区の公民館にいた。商店街組合の会合があり、秋の文化祭などについて話し合いが行われている。
「南ちゃん、手伝ってくれてありがとう」
「いえ、気にしないで下さい。どうせ暇ですから」
 清楚な中年女性に、浅倉南は屈託ない笑顔で答える。
 女性は地元の短大で栄養学を教えている。全体的に卵を思わせるような柔和な顔立ちで、微笑みと口角が上がって愛らしく、笑うと垂れ目になってチャーミングで、ふわりとしたミディアムロングの髪型が、何時までも乙女のような可憐さを漂わせている。しかし、キャリアウーマンらしく目元と口元がキリリと引き締まっていて凛々しい。
 清楚な美人で仕事ができ、名前も【旦椋美波】と少し似ているから親しみもあり、何時の頃からか、浅倉南は彼女に憧憬の感情を抱くようになっていた。
「お、感心かんしん」
 浅倉南が愛用のエプロンとバンダナを着けて、積極的なところを見せると、美波はちょっとお姉さんぽい口調で微笑む。
「高校男子といえば、やっぱりお肉よね」
 それから、唇に指を添えて、まるで少女のように可愛らしくささやいた。
「サーロインをニンニクとショウガで炒めて、ニラと長芋に納豆も加えて――」
「いいね、流石だぜ!」
 浅倉南の提案に、今度は少年のような表情を浮かべて、ぐっと親指を突き出す。
「よし」
 そして、短く気合いの言葉を吐くと髪を後ろでまとめて腕まくりする。
 猫の目のように目まぐるしく変わる表情とその仕草の一つひとつに健康的な明るさがあった。
 今、二人は会議室ではなく調理室にいる。
 この日は、2人で協力して、文化祭の目玉になるような、商店街の新しい名物料理を考えることになっていた。
 テーマは当然、『夏の甲子園』である。高校生球児たちの胃袋を支えたスタミナ料理を大々的に売り出そうと商店街組合会長が言い出したのだ。
「おはようごーざーぃまーすぅ」
 浅倉南が玉ねぎを微塵切りにしていると、その張本人である会長が、商売人らしい気さくな音色を発して入ってくる。
「……」
 顔や声は笑っているのだが目の奥が笑っていない、と浅倉南は思う。顔にこそ出さないが、内心で苦手という感情を否定し切れないでいる。
 組合会長の【樋樫辰夫】は、肉体からも魂からも脂が溢れ出したような中年男で、頭皮は薄く透けて、顔は丸くふくれて垂れ、腹はでっぷりと出ている。一見して冴えないオヤジであるが、時折剥いてみせる眼球には、そこはかとない力強さがあった。押しの強い性格と相まって、町内の若い女性からは「恐い」と評判が悪い。しかし、子供のように顔をくしゃくしゃにして笑うと、不思議なことに、どこか人懐こい魅力が出てくる。現に子供たちからは人気があるようだった。兎も角、「人間は複雑だ」としか言いようがない人物である。
「樋樫会長、おはようございます」
 挨拶を返す美波の声は、淡々としているが、声の端に微塵の嫌悪感もない。分け隔てのない優しさに満ちている。誰からも好かれる笑顔をさらりと見せてお辞儀する、その立居振る舞いは非の打ちどころがない。まさに好感度№1女性だ、と浅倉南は横で一人納得する。
「美波ちゃん、忙しいのにごめんね。無理ぃ言ったねェ」
 会長は馴れ馴れしく名前を呼ぶ。その目がもうぎらついている。
「いえいえ、私も地元に協力できてうれしいです。けど、新メニュー開発なんてやったことないから不安ですけど頑張ります」
「何を言ってんのぉ。美波ちゃんは綺麗なだけじゃなくて、頭がよくて、料理の腕もぴか一じゃないかぁ」
「褒め過ぎ。何も出ませんよ」
「いやいや、全然足りないって、優しくて、真面目で、頑張り屋さんで、品があって、気配りができて――」
「はいはい、話半分に聞いておきます」
 指を折って軽快に喋る会長を、美波は適当なところで遮る。
「つれないねェ、お世辞じゃないのに」
「そう言う事は奥様に言って下さい」
「今更何言っても無反応だよぉ」
「それは寂しいですね」
「そうなんだよ。如何だい、美波ちゃん、慰めてくれないかい」
「さあ、私じゃ力不足じゃないですか?」
「10万円のバックをプレゼントするからデートしてよ」
「はい、ありがとうございます」
 もう結構です、と壁を押すように手を翳す。
「新メニューの参考になるかもしれないから、お昼はザギンでスーシーする?」
「まあ楽しそう。でも、今回は南ちゃんが手伝ってくるから、何とかなります」
 繰り返される攻防の中、一貫して、美波は卒のない受け答えを続ける。その八方美人ぶりを流石だと感心するとともに、浅倉南は、『気がないのに勿体づけて』と意味の分からない苛立ちを覚えていた。
「南ちゃんもご苦労さんだね」
「……はい」
 咄嗟だったために、一拍返事が遅れてしまう。
「南ちゃんも、お手柄だったね。南ちゃんのイベントも考えないとね」
「ええ、ありがとうございます」
 浅倉南の脳裏に、役所のあの大きな垂れ幕が思い浮かんで、嬉し恥ずかしという面持ちである。
「こんな頃から知ってる南ちゃんが、立派なスポーツ選手になるなんて、お兄さん本当に嬉しいよ」
「まだまだですよ」
 顔の前で手を横に振りながら、思わず一歩後退した。それほどに、この会長の圧は強い。
「もう日本の高校生で一番なんだから、次は世界だね」
「世界だなんて、そんなこと考えてもいませんよ。それに、競技人口も少ないマイナースポーツだし、試合じゃ運が良かっただけだから……」
「南ちゃんは謙虚だね。そこも魅力なんだろうねェ」
 言いながら、足元から頭の先まで舐め回すように観ている。
「……」
 その瞬間、ぞっと浅倉南の背筋が震えた。それから、無言のまま顔を引き攣らせる。
「どうだろう――」
 ここぞと畳みかけてくる。
「レオタード姿の等身大パネルを作って、商店街に並べるというのは?」
「ええ……」
「カメラには少々自信があってね。愛用のライカで撮ってあげようか?」
「はぁ……」
「南ちゃん、このレシピをコピーしてきて」
 返答に困っている浅倉南に、美波が気を利かせて助け舟を出した。
「はい」
 浅倉南は脱兎のごとく、扉へと歩き出す。そして、誰もいない廊下を歩きながら、舌先をちらりと出して、頭を軽く小突く。

 コピー機は事務室の一角にある。
「枚数を必ずノートに記入してください」
「はい」
「間違いなくやって下さいよ」
「……はい」
 浅倉南は普段通りに素直に頷く。しかし、20代前半であろう事務員の反応は薄い。
 少し前までなら、大人の人は、もっと親身に説明してくれて、一緒に楽しく作業したように思う。そして、覚えの早さや手際の良さを、「凄いすごい」と笑って褒めてくれただろう。
 最近、特に若い女性からの視線が冷たいような気がしていた。大人として扱われているのかもしれないが、もしこの場に男性がいてくれば、もう少し雰囲気をよくできたかもしれない、と根拠なく思う。
「……」
 浅倉南は無言で、コピー機から吐き出される紙の擦れる音を聞いた。
「失礼しました」
 独りで紙を束ねて、静かに退室する。

 調理室に戻ると、中年男性が増殖していて、美波を取り囲んでいる。
「うっ……」
 その暑苦しさに。思わず、入室を戸惑った。さながら、女王蜂に群がる働き蜂のようである。この光景をそう認識した瞬間、ハンマーで殴られたような衝撃で頭が揺らぎ、胸がきつく締め付けられて息苦しい。どうして、これほど動揺するのか自分でも分からない。
「優勝は凄いけどさ――」
 つまみ食いしながら、つるりと剥げた男性が喋る。
「結局、プロになれなかったんだろ?」
「まぁあの身長だとボールに角度がつかないからねェ」
「そうそう、幾ら速くてもプロなら当ててくるよ」
「大学に進学して指導者になるのが無難だろうね。あれ? 俺のハンカチは?」
 油で汚れた指をふらふらさせている。
「それもどうかねェ。野球始めたのは3年が引退した新チームからだろ。地獄の新入生を経験していないのは、大学の寮じゃ何かと辛いだろうねェ」
「そうかも分からんね」
 中年男たちは、したり顔で野球談議に花を咲かせている。
「美波ちゃんはどう思う?」
「さあ、野球は分からないから。でも、一生懸命な男の子は好きですよ」
 自分に言われたように、男たちは皆にやにやとしている。
(勝手なことを!)
 浅倉南は、怒りに眼の前が眩む。
 上杉達也がドラフトを拒否して、大学進学を選んだのは肩の傷みの所為である。ゆっくりじっくり確実に治療しようとしているからだ。
 そう怒鳴って踏み込もうとしたのだが、ふと最近の彼の無気力な言動に思い至り、急に足が止まった。
(たっちゃんも、そう思っているのかしら……)
 胸の内に不安が渦巻く。
 その時、中年男たちの会話は、あの事故へと広がっていく。
「でも弟さんは凄かったんだろ?」
「足腰が強靱だった」
「毎日走り込んでいたからねェ……」
「投球術を心得ていた」
「小学生の頃からエースだったからねェ……」
「……残念だった」
「事故だろ?」
「それが――」
 然も意味ありげに声を潜める。
「2枚刃の安さんの話じゃ――」
「警察官の?」
「そうそう、彼が言うには、目撃情報があやふやらしいぞ」
「ほお」
 卑しい好奇心が疼き、男たちの頬が次第に弛む。
「何でも、ホテルから女の声で通報があったそうで、偶然窓からその瞬間を目撃したそうだが、けど、詳しく話を聞こうと部屋に警察が行くと男しかいなかったらしい。女はいなかったと証言しているらしい」
「おやおや、朝っぱらからミステリーですか。その幸せな男は誰だい?」
「それが、よく知らないが、線路沿いのアパートの住人らしい」
「ああ、あのアパートか……」
 男たちは揃って眉間を顰める。古い木造アパートの住人達の評判は、この商店街では頗る悪い。
「美波ちゃん、知ってる?」
「知りませんよ」
 美波は、さらりと答える。
「さあさあ、『らしい』ばっかりのくだらない噂話はそこまでにして、皿を並べるのを手伝って下さい。」
「はーい♪」
 男たちは、エサを貰う雛のように大きく口を広げて返事すると我先に動き出す。
「……」
 浅倉南は、廊下の壁に寄りかかる。壁はヒンヤリとして、熱ダレ寸前の後頭部から熱を奪う。それでも、もつれた思考回路を整理することはできない。天井を見上げて、独り下唇を噛んだ。

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