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2019/03/06
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クマ紳士
私立九条院大学。
政財界や家柄のあらゆる財閥の御息女が通う超名門校、九条女学院。小学から大学まで存在し、場所は人里離れた山奥に位置する。高等部までは、全寮制となっており、生徒は全て寮生活を余儀なくされる。【大和撫子】を育成するを謳い文句に、生徒は全て女性。厳しい躾と学業に励み、日々を過ごしていく。お嬢様学校である九条院だが、大学からは男子の受け入れも行っている。九条院で育った女性に恥ずべき男にならぬよう、受験をする男子生徒も少なくない。

「ごきげんよう」

「ごきげんよう、環様!」

赤毛の長髪をたなびかせ、一人の女性徒が会釈し講義が終了した講堂を後にする。声を掛けられた女性徒は頬を僅かに赤らめ、慌てて言葉を送った。

「はぁ~! 麗しいですわ! 環様!」

「ですわですわ! 九条院に返り咲いた一輪の薔薇! 見惚れてしまいますぅ!」

うっとりと夢見がちな女性徒2人は手に手を取って歩き去る女性を見送る。
見れば彼女は、誰かの側を通る度に、声を掛けていた。誰もが彼女の声に反応し、すぐさま返事を返していた。

ここ九条院に置いて、彼女はーー向坂環は特別だ。

小学から高校までを九条院で過ごし、彼女曰く長老のようだと言っていた。小学から入った子供は、あまりの躾に耐えきれず逃げたり、潰れてしまう子供が多い。環も逃げようとした事はあったが、今帰っても連れ戻されると計画を断念した。高校生になり、自らの成長ぶりを遺憾無く発揮し、一度は九条院を出て行ったのだ。それも全て、初恋の男の子を追ってのもの。

「環様、おかえりですか?」

「ごきげんよう」

にっこりと微笑みながらすれ違っていく女性徒達。九条院に置いて、環の影響力は群を抜いていた。元々が物事の中心に存在する人物。人目を引く容姿、ハキハキとした言動。軽やかな身の子なし。文武両道、質実剛健。お嬢様中のお嬢様。彼女の声は、鶴の一声に等しいと、彼女をよく知る九条院の女性徒は言う。

「おい、見ろよ……」

「いいよなぁ……」

九条院に入学したばかりの男子生徒。環と同じ大学一年生ながらも、彼女の圧倒的な存在感に気圧され、遠巻きに彼女を見ていた。ヒソヒソと話す姿勢は環にとっては好ましくなく、普段であれば注意の一つでもしていたかもしれない。

「……いない」

辺りを見渡しながら、環は足を進める。九条院の中で、校舎内を走り回るなんてご法度だ。周りの目もあるし、焦りながらも態度が表に出ないように注意した。校内に男子生徒は多くはなく、男子も受け入れているとはいえ、やはり女学院。東大クラスの学力が必要との敷居の高さもあり、男子生徒は毎年数パーセントしか入学して来ない。そんな中でそのひと握りの男子入学を果たしたのが、

「あ! たっか坊ぉ~! 見~つけた!」

「うわっ!? た、タマ姉ッ!?」

ーー彼、河野貴明である。

「自慢の彼女に向かって、うわって何? お姉ちゃんに会いたくなかったの?」

「いひゃい、いひゃい!」

環は貴明の反応にムッとしながら、彼に駆け寄ってすぐ、貴明のほっぺたを抓りあげた。人目もはばからずお仕置きを始めた環に、そこかしこから驚きの声が上がる。九条院では有名人な彼女だけあり、普段のお淑やかな姿から一転、こうした子供のような仕草は他の生徒には見せない。それを見せている相手は誰だろうと、知らない生徒達は目を離せなくなっていた。

「タマ姉、みんな見てるよ!」

「いいじゃない、別に。誰が見てようと」

「ダメだよ! 九条院《ここ》ではタマ姉、皆の憧れなんだろ?」

「さあ? それに、私が恋人と逢瀬を楽しんでいるのを邪魔する不届き者がいるなら……それこそ潰すわ。ええ、容赦なくね」

環の眼光が鋭くなり、辺りの野次馬に目を向ける。物見遊山よろしく囲んでいた野次馬達が、蜘蛛の子を散らすように逃げていく。貴明はそんな環に一度だけ深いため息を吐いた。

「タマ姉、怖がらせちゃダメだよ。せっかくお淑やかなお嬢様で通ってるんだから」

「知らないわ。周りがどう見ようと勝手。タカ坊の目に映る私が、ちゃんと恋人の私なら……誰がどう見ていようと関係ない」

「……ったくもう。タマ姉はハッキリ言い過ぎなんだよ」

口にしながらも、貴明は環の正面からの好意が嬉しかった。高校生の頃はからかわれていると、逃げたくなる思いだったが環の言葉に嘘はなく、いつも自分の事を考えてくれていると誇らしく嬉しい気持ちだった。照れ臭い気持ちもあり、口には出せないが本当はすぐにでも抱きしめたいほど嬉しかったのだ。

「もう! タカ坊ったら、2年以上付き合ってる彼女に素直じゃないんだから!」

環は口を尖らせた。軽くそっぽを向き、不機嫌な様子を貴明に見せる。彼の顔が焦り、しどろもどろになり始めると環は小さく笑い始めた。

「タマ姉、笑わないでよ!」

「ごめんね。だってタカ坊、相変わらず可愛いくて。お姉ちゃんがタカ坊に本気で怒るわけないじゃない」

環が貴明の身体を包むように抱きしめた。優しく抱きとめられた貴明は、自分から抱きたかったと思ったが環の甘い匂いに包まれ、まあいいかと抱き返した。校内で繰り広げられるイチャつきだったが、咎める者は誰もいなかった。ただ、悔し涙を流す者は数名居たようで……肩を落として歩いていく生徒がいた。

「あ、あのさ……タマ姉」

「ん? なぁに?」

環の声が甘い。優しい声音で話し掛けられ、貴明はドキッ! と胸を鷲掴みにされた。お互いに抱き合っている状態で、貴明の肩に頭を寄せてくる環がとても可愛いく見えた。フワリとした柑橘系の甘い香り。付き合い始めてから幾度と嗅いだ環の匂い。鼻を鳴らさなくても、自然と自分を包み込んでくれる優しい香りだった。お互いの吐息が聞こえそうな距離で、貴明はそれを口にする。

「今日、これから帰りでしょ? 帰ったらさ……その、今日は……」

口ごもってしまう貴明だったが、頬を赤らめながら告げようとした台詞を環は理解していた。貴明と付き合い出してから、2年余り。九条院に入るには貴明の学力では厳しく、環は付き合い出してすぐに貴明の学力を上げるために毎日勉強を教えた。普段勉強をしない貴明が、九条院に入るまでの学力を身に付けたのは環の教えがあってこそ。それを耐えられたのは、環と離れたくない思いと、

「……タカ坊、お姉ちゃんを抱きたいの?」

「〜〜っ!? あ、え……っと、う、うん」

ーー甘いご褒美があったから。

恋人同士になったその日に、環は貴明に自らの体を全て捧げていた。避妊もせず、環の体を味わった貴明はその余りの魅力に逆らえなくなった。環が貴明を虜にしたい、自分に溺れて欲しい、自らも貴明に溺れたいと愛し合った結果である。猛勉強の最中、どちらともなくお互いの体を求め合っていた。それは決して多くはなく、付き合い始めはともかく受験の追い込みの時期は禁欲の日々が貴明を苦しめた。九条院に合格し、通い始めてひと月が経とうとする今、貴明は我慢の限界というべき、環と愛し合いたい欲求に駆られた。しかし、

「ごめんね。今日はダメなの」

抱きついていた環が体を離し、手を合わせてくる。環の無情な返答に貴明は思わず、なんで!? っと聞き返してしまった。

「これからね、愛生と美香と会う約束してるの。知ってるでしょ? 愛生と美香」

「う、うん。タマ姉の九条院の友達でしょ。お堅いお嬢様達の中で唯一タマ姉が気兼ねなく話せる女友達」

環は貴明が落胆しているのが分かり、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。しかし、貴明の言う通り、二人は環にとっては九条院で気兼ねなく話せる唯一の友達だった。九条院には派閥があり、大学になってもそれは変わらなかった。お嬢様学校ゆえのグループ派閥。資産家の娘も多いだけに咎める者も少なく、見えない火花がそこかしこで飛び交う。そんな中、一般入試で大学から入って来た二人は環と気が合い。周りの目を気にせず、環と向き合ってくれる貴重な友人だった。

「先週からの約束なの。約束を反故には出来ないわ。これから二人とお食事に行くの。だから……ごめんね、タカ坊」

環は素直に頭を下げた。自分が紛らわしい態度を取ってしまったと反省してのものでもある。今から食事に行ってくると伝えるだけ、行く前に貴明と話したいと感情が先走り、いつものように貴明に甘えてしまった。貴明をその気にさせてしまったのは、自分の責任と環は反省した。

「謝らないでよ。タマ姉は何も悪くないよ。九条院でタマ姉がどれだけ頑張ってるか知ってるからさ」

落ち込んでしまった環に、貴明は笑みを返した。先程先述したお嬢様同士の派閥争い。時折激化しそうな争いを仲裁し諌めているのが環だった。九条院で発揮している彼女のカリスマと、向坂の名前が持つ影響力が合わさってのものだ。九条院の大抵の生徒は彼女を高く評価し、大学一年生とは思えない存在感を見せていた。

「頑張ってるってほどでもないわ。確かに皆、頼りにしてくれているみたいだけれど。タカ坊に元気を貰わなかったら、逃げ出していたかも」

貴明の言葉が嬉しくて、環も笑みを返した。しかし、環は逃げ出してしまうと言ったが貴明は信じられなかった。彼女の責任感の強さを、誰よりも知っているからだ。そんな彼女が頼りにしている人達の期待を裏切る姿は、想像出来ない。

「俺は傍に居ただけだよ。話には聞いてたけど、すごいとこだよね、九条院」

色々な意味で、と続けそうになったが環の前なので自粛した。環が貴明を連れて九条院に戻ったのは、この学院が好きなのもあるはずだ。長老のようだと言っていただけに、知り合いも多く、皆期待している。それを裏切りたくなかったのだろう。

「タカ坊は居てくれるだけでいいの。傍に居てくれるだけで、私は幸せだから。それに、今は愛生と美香ともお友達になれたし」

「だね。周りが皆お姉様とか環様とかじゃ、気を使うよね。タマ姉、九条院の中だと2人と話してる時が一番楽しそうだよ」

貴明が笑い掛けてくれて、環もありがとうと返事を返した。出会ってひと月ほどしか経っていないが、2人は環にとって大事な友達だった。派閥とか関係なく、さらには九条院の環ではなく、女友達としての環を見てくれている相手。貴明以外には気を使わず話せる相手は彼女達しかいない。環はそれだけ目立ってしまっているし、仕方ないと目を瞑ってしまうしかない。

「じゃあ……そろそろ行くわ、タカ坊。終わったら連絡するから」

「うん、行ってらっしゃい。楽しんで来てねタマ姉」

「ありがとう、愛してるわ。タカ坊」

環は花が咲いたような暖かい笑みを貴明に向け、彼の額に触れるだけのキスを落とした。額に柔らかな唇の温もりを感じた貴明は、すぐに恥ずかしさから顔を赤らめていた。その反応を見て、環は貴明が可愛くて仕方なかったが、後ろ髪を引かれながらも彼に背を向けて、早足で歩き出した。貴明は名残惜しく、その背中に寂しい瞳を向けてしまった。

はぁ……タマ姉としたかったなぁ。

今日は自分で処理しなければと、貴明は重い足取りで家路に着いた。
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